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2008年7月

2008年7月19日 (土)

[世界]

草むらの罠にかかった、一匹の兎

絶望的で悲観的な心の中で、兎がもがく訳とは

希望を捨てきれぬ小さな生き物たちの、哀れな叫び

権力者の耳には決して理解されない悲しき呪文

世界に降り立つ人間たちは

他の生物たちの背負った、便利だが罠の取り付けられた恐ろしき呪具

利用すれば、それまでにないほど有能な道具

騙されれば、逃げることの叶わない大きな罠

 

やめてくれ

まだ、死にたくない

 

悲痛な叫びは届かずに

その後の惨劇へと導いていく

もし

彼らが

人間が

その心を理解できたのなら

世界はこんなにも、汚れなかっただろうに


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[先見えぬ路]

歩いた道は短いようで果てしなく

これから歩く道は長いようでとても短い

もう止まった足は今でも重く

荷物を片すと目に映るのは、自らの意思で決めた定め

だが、決めた決意の記憶はなく

交わることを忘れた冷たい指は、急に触れた暖かな手に恐怖する

ものを映さぬ透明な目は、美化した過去の夢しか見ない

人と話すことを忘れた口は、閉ざされたまま、古き唄を歌う

 

その先にあるものなど、知りたくはなかった

 

そして歩き出す短い道は、到達点を見せない


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2008年7月13日 (日)

[陰人謀形]

陰謀はいつでも影に隠れ、見えるのはその背後だけ

実態は見えないまま、その陰謀は行動を開始する

小さく呟く、主人の声を聞きつけて

精巧に作られた操り人形のように

意思を持ち体を動かし、その人形は血を浴びていく

全て主人の思うがままに

そして、流された血は新たな血を求め、人形も血を求める

罪という名の舞台の上で、糸に吊られて

右へ、左へ

悲しく哀れな姿になるまで、旋律の罪音に踊る

 

人形は操られていることを知らない


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2008年7月 8日 (火)

[欲]

雪は止み、雨は止んだ

冷たく凍った女の心は、やさしい言葉で解けていく

その言葉に酔い

惑わされ

絡めとられて

女は足を踏み込んでいく

黒よりもなお暗い、マグマよりももっと深くの

底なしの、泥沼へ

 

 女を口説き、望みの若き体を得て

 快楽の泉に浮かぶ、愚かな裏切り者

 その快楽にさえも飽き、泉から上がってしまった悲しき男

 偽りの世界に、男が見るものは

 儚く燃え尽きていく、裏切った者たち

 弁解の言葉は頭に浮かばす

 懺悔の言葉は遅すぎた

 そして、男の命は燃え尽きる

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